バレンタイン特別企画^^
全二話の予定です。
2月14日。
街中に甘い香りが漂う。
そう。今日はバレンタインデー。
女の子にとって特別な日。
これまではただ面倒な行事でしかなかったけれど
最近は違う。
相手がいるだけで
ここまで気持ちがかわるとは
自分でも驚きだ。
フランスでは、男性が女性に花を贈る習慣らしいけど
日本はそうでなくてよかったとつくづく思う。
口下手な自分が
恥ずかしがらずに彼に愛情表現できる
唯一の機会だと思うから…
「えっと…チョコを刻んで湯煎にかける…」
ハルヒはレシピを見ながら
着実に調理していく。
料理は得意な方だけれど
お菓子はあまり作ったことがないから
勘では進められない。
「トリュフって以外と大変なんだなぁ」
確か『簡単トリュフ』とパッケージに書かれたものを
買ってきたはずなのだが…
やはり、目安は当てにならないらしい。
今日は嬉しいことに土曜日だから
ゆっくり作っても
夕方には渡せるだろう。
「よしっ!!頑張ろう!!」
ハルヒは気合いを入れなおし
トリュフづくりに取りかかるのだった。
* * *
三時間後。
ようやくトリュフが完成した。
実を言うと、あまり甘いものが好きなわけじゃない。
それは鏡夜とハルヒの少ない共通点のひとつ。
だから、食べやすくなるかと、少し苦めに作った。
作ったチョコをみると
むしょうに味見したくなるのだけど、
最低限の個数しか作ってないので
むやみに食べることもできない。
ハルヒは指をくわえたまま
次の作業に取りかかった。
「あとはラッピングだけか」
ハルヒは袋から小さな箱を二つ取り出す。
ひとつは鏡夜の分で、もうひとつは父の分。
箱にチョコを詰めてリボンをまく。
美術的なことは一切できないが
なかなかいい仕上がりだ。
ラッピングしたあと
チョコが溶けないように
とりあえず冷蔵庫にしまっておくことにした。
「鏡夜先輩、今日会えるかな??」
きっと鏡夜は自分が頼めば、無理矢理にでも予定を調整して
時間を作ってくれるのは分かっていたが
やはり心配になる。
鏡夜に電話しようかどうか迷っていたとき
携帯の着信音が部屋に鳴り響いた。
「もしもし??」
『ハルヒか、俺だ。』
声の主は、案の定、鏡夜だった。
『実はお前にあげたいものがあるんだが…』
「あげたいもの…ですか??」
『あぁ。今、時間空いてるか??』
「はい、大丈夫です。」
何の用かは分からないけれど
鏡夜から誘ってもらえるとは思ってもみなかった。
『じゃあ、こっちから車を回すから、お前は家で待っていてくれ。
着いたらインターホンを鳴らすから。』
「分かりました。」
『それじゃあまた後でな。』
電話を切ると、ハルヒは急いで支度を始めた。
鏡夜のことだから三分後に家にきてもおかしくない。
急ピッチで用意を進めるハルヒは、ふと思った。
今日は以外にあっさりした電話だったな。
いつもはもう少ししゃべって
鏡夜先輩がさらりと甘い言葉をいってのけて
電話が終わるパターンが多いのに
今日は通話時間が一分にも満たないくらい。
なんだか寂しい気もする。
ハルヒは大きなため息をつく。
すると、家のインターホンが鳴った。
早速、鏡夜が到着したらしい。
「はーい、今行きます!!」
ハルヒは鞄に鏡夜のチョコを丁寧にいれると
玄関に向かった。
ハルヒは扉を開く。
「藤岡様、お迎えにあがりました。」
そこには鏡夜の姿はなく、
鳳家スタッフ三人衆である
相島と堀田の姿があった。
「あれ??鏡夜先輩はどうしたんですか??」
「鏡夜様はホテルでお待ちでございます。」
ホテル??
何でかな。
「藤岡様、どうぞ御車へ。」
「はぁ。」
ハルヒは疑問に思いつつも
二人に付き添われ
車で鏡夜が待っているという
ホテルへ向かうのだった。