結局、鏡夜がハルヒの家に行けたのは、9時だった。
おそるおそる、インターホンを鳴らす。
「はい??」
「あぁ、俺だ。」
「今開けますね。」
ドアは開かず、鍵だけが開く。
鏡夜はゆっくり、ドアを開いた。
「鏡夜先輩、おかえりなさい。」
「あぁ…ただいま。」
靴を脱いで、部屋に上がろうとすると、ハルヒがそれを止めた。
「鏡夜先輩、何か言うことはありませんか??」
「は…??」
ハルヒは怒っているが、今にも泣きそうな顔で
鏡夜に話しかけた。
「今日は8時に帰るって約束でしたよね??」
「あぁ、そうだったな。」
「じゃあなんで一時間も遅れて、連絡もしてくれなかったんですか??」
「それは…」
「仕事が忙しいのは分かります。でも…」
「本当に、すっごく心配したんです。」
ハルヒが鏡夜にしがみつく。
彼女の行動に、鏡夜も目を丸くした。
「自分は、昔から父の帰りを一人で待ってました。
いつも父は朝帰って来れない時は、留守電を入れてくれたんです。
自分が心配しないようにって。
でも一度、父が連絡も何もなしに家に帰ってこなくて。
そのとき、父は過労で倒れていたんです…
それ以来、連絡がないと駄目になっちゃって…。」
ハルヒは鏡夜の目をみて言った。
「心配…させないで下さい。」
自分にしがみつくハルヒを優しく抱きしめて、
鏡夜は言った。
「ごめんな。ちゃんと連絡すればよかったのに。」
鏡夜はハルヒを抱きしめる腕の力を緩めた。
「ほら、中にはいろう。
夕食を作って待っていてくれたんだろう??」
「そうですね。すっごくお腹空きました。」
「早く食べよう。」
やっとハルヒに笑顔が戻った。
それにつられて鏡夜も自然に笑顔になる。
二人は部屋の奥へと入っていった。
* * *
夕食を食べ終わった後、鏡夜はお風呂に入っていた。
狭い浴室で狭い湯船に浸かる。
まさか、ハルヒがあんなことを言うとは思ってもみなかった。
無駄なところで強がりで
人一倍鈍感で
いつも心配ばかりかけるハルヒが
あんなにも脆く、弱いところを
俺に見せてくれるなんて…
「それだけ、俺を信頼してくれているのか。」
鏡夜の心は
ハルヒを心配させたことの罪悪感と、
心を開いてくれたかもしれないという嬉しさが
うずめきあっていた。
「ハルヒ、風呂上がったぞ…??」
風呂から出ると、ハルヒはソファの上で眠っていた。
「全く…慣れない酒など飲むからだ。」
鏡夜はハルヒの隣に座る。
すると、ハルヒが鏡夜の肩に寄りかかってきた。
細くてさらさらの髪。
大きい瞳。
小さな体。
今にも壊れてしまいそうなハルヒは
無防備に、息を潜めて眠っている。
「さて…どうしたものか。」
ベッドに連れて行っても
起こしてしまいそうで。
まぁ今日ぐらいはこのまま寝るのもありか…
鏡夜はゆっくり目を閉じた。
こんなに脆くて
こんなに小さいけれど
この隣にいるハルヒが
俺にとって一番大切な宝物であり続けますように。
そう願いながら
二人は眠りについたのだった.

ふう。終わった終わった^^;。
ただ、気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、
かなり手を抜いた…じゃない、省略した部分があるので(笑)、
それはまた後日オマケ話にてお付き合いくだたい。
それでは、すべての人々が
幸せな夜を過ごせますように…
Merry X’mas........