「って言うわけで…」
「クリスマスにケーキ忘れるなんて、お前どんだけだよ」
「ま、そこがハルヒらしいというかねぇ…」
光と馨は、急いでいたハルヒを止め
半ば強制的に家に戻した。
そして、自分達にできることはないかと、ハルヒに詳しい事情を聞いていたのだ。
「っていうか、鏡夜先輩って甘いの嫌いじゃなかった??」
「あ…」
「まったく…
恋人の好みまで忘れちゃうなんてさ。」
「で、でもなんとかしてくれるんでしょ??」
「あぁ、うちのパティシエに頼めば、30分でできるし。」
「電話してあげるよ。」
「本当!?ありがとう!!助かったー。」
光は携帯を取り出す。
「…あ、もしもし??今から30分くらいでケーキ作れる??
ちっちゃいのでいいんだ。二人分だから。…あ、味??」
「甘さ控えめ」
ハルヒは口パクで光に指示する。
「うん、激辛で。」
光がハルヒを見て、ニヤリと笑う。
「ちょっと!!何いってんの!?」
ハルヒは光の手から携帯を奪う。
「もしもし??激辛じゃないです!!
種類は何でもいいので、甘さ控えめにしてください!!
…はい。あ、藤岡ハルヒです。…はい、はい。よろしくお願いします。」
ハルヒは携帯を切ると、光に返した。
「ちぇっ、面白いと思ったのに。」
「そんなことしたら、鏡夜先輩に半殺しにされちゃうよ。」
それもそうか、と光は笑った。
「あ、そうそう。ハルヒ、ケーキ持ってきたんだ。」
馨はケーキの箱をだす。
「先にこっち出してくれればよかったのに。」
「これカットしてあるやつだやら。ホールの方がいいでしょ。
ほらみんなで食べよう。ハルヒから好きなの選んでいいよ。」
箱の中には、モンブラン、ショートケーキ、チョコシフォンが入っていた。
「ショートケーキがいい。」
「ハルヒ、苺好きだね。前も食べてた。」
「え??」
「いや、何でもない。」
皿にケーキを取り分けると、
ハルヒが緑茶を入れてきてくれた。
「緑茶って…」
「紅茶ないの??」
「甘いの食べるときは、苦いほうがいいの。」
「「それ、ハルヒの趣味じゃん…」」
「つべこべ言わないでってば。」
三人は、ケーキを食べながらまったりとしていた。
「鏡夜先輩は、いつ帰ってくるわけ??」
「8時ぐらいだって。」
「じゃあそれまでに帰ればいいか。」
「いや、ケーキ来たら帰ってよ。」
「冷たいなぁ。僕ら、ハルヒが寂しいんじゃないかって思ったのにー。」
「別に寂しくないし。」
「…でも、久しぶりに会えて嬉しかったよ。」
「「ふーん…」」
「何??どうしたの??」
「「べっつにー。」」
なんだか気まずい空気の中、キッチンから、レンジの音がした。
「あ、焼けた。」
「何々??七面鳥??」
「よくわかったね。」
「僕らも食べたい。」
「駄目。どうせ家にあるじゃない。」
「「ケチ」」
「ほら、作るからどいてー」
光と馨はキッチンから追い出されてしまった。
キッチンで料理を始めるハルヒを見ていた馨が言った。
「光…、帰る??」
「うん、そうだね。」
光と馨は立ち上がった。
「ハルヒ、俺ら帰るね。」
「え??まだケーキ来てないよ??」
「いいよ。帰る。なんか今日は疲れてるの。」
「ふーん、じゃあこれ持ってかえって食べて。なんもできなかったから。」
ハルヒはリンゴの入ったビニール袋を手渡した。
「職場の子がね、くれたの。地元青森なんだって。
すっごい美味しいよ。蜜がいっぱい。」
「「サンキュー。」」
ちょうどそのとき、インターホンがなった。
「あ、来たじゃん。」
「やっぱり早いね。さすが常陸院。」
ハルヒは玄関に向かう。
その後ろ姿を、光は複雑そうな顔で見ていた。
「帰ろ、光。」
「…うん。」
「「ハルヒー、んじゃねー。」」
「また来てね!!」
「「バイバーイ」」
光と馨も帰ってしまい、家のなかは、静かになった。
「よし、頑張ろっと。」
ハルヒはキッチンへ向かうのだった。